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蒲菖亭(あべの古書店主人)
蒲菖亭(あべの古書店主人)

2019年06月17日

中村敬宇 情死論

人はいろいろだから、人以外のものを愛したりする。
人形を愛したりアニメの登場人物を愛したり犬猫を愛したり国家を愛したり汚れた下着を愛したりする。
なにを愛そうが勝手だが、優先順位はあったほうがいいと俺は思う。
筆頭に来るのは人で、人が人以外のものを愛するのはすべて変態だと断ずる。
俺は国家を愛したりはしない。
無機物ですらないものを愛せる心情を理解するつもりがない。

明治のはじめの頃、中村敬宇が「情死論」を書いた。
静岡の遊廓の女性が臨済寺の山門前で、年下の愛人と心中したことに触発されて書いたのである。
人は人を愛する、人は家族を愛する、人は故郷を愛する、とだんだんスケールが大きくなり、国家を愛して国家のために死ぬのもこれまた「情死」でよきかなよきかなに発展する。
敬宇先生がこのようなことを言い出したのは良くなかった。
どんな局面であっても、なにかのために死ぬことはダメだと俺は思う。
愛するもののために死ぬことがダメだ。
人はそういう物語をずっとずっと作ってきた。
愛するもののために自らの命を投げ出す、よきかなよきかなと。
愛する女性のために死ねるのなら愛する祖国のためにも死ねるんじゃないですかと。

いやあ、ずっとずっと、そういうものだと思っていたよ、愛するもののために死ぬのは尊いことだと。
だまされた、俺の命は俺のものだ。

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Posted by 蒲菖亭(あべの古書店主人) at 23:59 │日録
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