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蒲菖亭(あべの古書店主人)
蒲菖亭(あべの古書店主人)

2023年12月08日

「十三仏」その3

法月吐志楼の『二番煎じ』から引用する。

《静岡来迎院にある、十三仏の供養をやるということを新聞でみた。十三仏は由比正雪に関係のある、宮城野信夫の建立と伝えられるものであって、昨年(昭二十六)は正雪の三百年祭が、安倍川畔の弥勒町(みろく)で盛んに行われたことでもあるので、十三仏の供養をやることは、まことに結構なことである。》

まずこの記事が書かれたのは昭和27年(1952)年。この時には十三仏は来迎院にある。
前年の昭和26年(1951)には正雪の三百年祭が弥勒で盛んに行われた。没後三百年祭ということになる。
十三仏は「宮城野信夫」が建立した。これは男性個人名ではない。「宮城野(みやぎの)」と「信夫(しのぶ)」の姉妹である。自分も歴史捏造派の一人として、この姉妹を「美人姉妹」としておく。

黒澤脩の「家康公の史話と伝説とエピソードを訪ねて」で十三仏を調べると、「駿府城下の七不思議」の項に、
《7.弥勒町(みろくちょう)十三仏の檜(ひのき)稲荷
注記:「本朝諸数 伊豆・駿河・遠江」に出ていますが、具体的なことはわかりません。ぜひ皆さんでお調べください。》
と書かれている。知らんけど、お前らで調べとけ、とのことだ。
私のようなドシロートには「本朝諸数」が判らない。当然ネットで検索する。ヒットしない。上記の黒澤が書いた文章の一語だけが唯一の同定である。「本朝諸社」という典籍はある。これは誤字ではないかとも考えるが、「本朝諸数」が実際に存在する可能性も捨てることは出来ない。《皆さんでお調べください。》と上段から言っているのだから、誤記誤植でそのような本は実在しないのです、などとは夢にも思わぬ。

それよりも宮城野と信夫の美人姉妹のこと。
二人は静岡人ではない。宮城県白石市大鷹沢三沢の農民の娘である。父親を剣士の志賀団七に殺され、その仇討ちのために江戸に出て剣術家の由比正雪の弟子となる。正雪は姉の宮城野に鎖鎌と手裏剣を、妹の信夫には薙刀を教えた。宮城野・信夫という名前も正雪が命名したものである。五年の修行の後に姉妹は郷里に戻り、幕府公認の果たし合いの元、父の仇討ちを果たした。
私は以上をネット記事で見つけた。その後の二人の人生は次のように書かれている。

《姉妹は、親のかたきとはいえ、武士を切ったつみをわびるため、その場で死のうとしました。それを止めようとする人々の声によって思いとどまった姉妹は、かみを切り静岡の弥勒寺(みろくじ)のそばにいおりをたてました。宮城野62才、信夫64才でなくなるまで、ほとけにつかえました。》

続く。

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Posted by 蒲菖亭(あべの古書店主人) at 21:02│Comments(0)アーカイヴ
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